タコ漁とは?
壺を使った明石のタコ漁に歴史あり。
タコは海底の岩礁地帯の岩穴や砂泥地帯では、穴を掘って潜り、外敵から身を隠して外の様子をうかがいます。タコで有名な明石で行われている「タコ壺」の漁は、タコが暗いところを好む性質を利用したもので、穴の代用として壺に縄を付けて海底に沈め、タコに身を隠す場所を提供し、安心して休んでいるところを引き上げて漁獲する方法です。
明石の遺跡からは「タコ壺」の土器が発見されており、タコ漁法の歴史は弥生時代までさかのぼることができます。
「タコ箱」の漁はタコまかせ+漁師さんの経験。
「タコ壺」を使う産地は多くありますが、北海道小平町では主に「タコ箱」を使い漁をしています。「タコ箱」とは、「タコ壺」と同じように物陰を好むタコの習性を利用した、タコを捕獲するための漁業用の道具です。タコ達が集まるベストポイントの海中に沈め、餌を使わずにタコを獲る手法で、後日タコがその中に入ってくれているのを期待して船上に引き揚げます。
いま、「期待して」という言葉をあえて使いましたが、仮に100箱を海中に沈めたからと言って、全戸完売の分譲マンションみたいに、100箱全部にタコが入っているわけじゃありません。むしろ、タコが入っていたら「ラッキー!」なのです。中には、他の箱はゼロなのに、一つの箱に2匹入っている場合もあります。このようにタコ箱漁は「タコまかせ」なところがあります。これに地元漁師さんの経験やカン、技量も加わって、漁が行われているのです。
「タコ箱」は日本海の大きなミズダコに有効。
小平町沖合の日本海ではミズダコが多く獲れます。重さは10㎏以上、大きなものになると20~30㎏になりますから、大きいタコを捕獲するためには「タコ箱」が有効なのです。
タコは水深1メートルの浅瀬から200メートル前後まで広く分布しています。春と秋は浅いところへ、夏は深いところへと一年を通し移動を繰り返します。
漁師さんはタコの通り道を予測し、絶好の位置へ「タコ箱」を仕掛けるのです。
新旧の「タコ箱」をご紹介。
写真は一般的に使われている「タコ箱」です。左が旧来の木製「タコ箱」。右が現在広く出回っている樹脂製「タコ箱」です。 木製に比べ水に強く、フジツボや他の生物が付きにくく、耐久年数が飛躍的にアップしました。
比べてみよう、タコ漁のいろいろ。
タコ箱漁業
タコ箱を海中に沈め、2週間に1~2回程度箱を揚げます。物陰を好むタコの習性を利用して行う漁法です。
いさり樽流し漁業
1つの樽に「いさり」と呼ばれる大きな掛け針の仕掛けを付けて投入します。樽は潮の流れに従いますが、「いさり」に掛かると樽の動きが止まります。
いさり漁業
船が漁場についたら「へさき」(前)と「とも」(後)から漁具を流します。この「いさり」漁業から改良されたのが、いさり樽流し漁業です。
空釣りはえなわ漁業
針を仕掛けた縄を沿岸線に垂直に張り、移動するタコを掛けてとる漁法で、餌は使いません。